こんにちは。りぢーです ☺︎
【視能訓練士】という職業に興味があるんだけど…。需要はあるのかな?
資格があれば一生食べていけるの?
医療職でありながら医師や看護師のように有名どころではない【視能訓練士】。
自分であれこれ調べてみたものの、ぼんやりしかイメージできず、将来性や需要に悩む方はたくさんいるのではないでしょうか。
単刀直入にお伝えしますと
【視能訓練士】は需要はあるけれど、選択によっては生活は厳しいかもしれない職業です。
どうして言い切れるのか、下記の順に詳しくお伝えしていきます。
❑ 全体の人数(総数)(+α)
❑ 需要と現状
❑ リアルなお給料
もしかしたら選択肢を広げるためのヒントになるかもしれません。
少しでも気になったあなたはぜひ読んでみてください。
どのくらいいる?全国の視能訓練士と眼科医の総人数
需要を考えるにあたり、まずは視能訓練士の総数を把握しておきましょう。
2019年3月31日の時点で視能訓練士は全国に16,199人いると言われています。
(参考;公益社団法人 日本視能訓練士協会 広がる業務分野と活躍の場より)
また2018年12月31日までは15,351人であることから年度にもよりますが、毎年おおよそ800人前後の有資格者が誕生していることになります。
(参考;なるほど!ジョブメドレーより)
次に視能訓練士に指示を出し、施設によっては経営者に匹敵する眼科医の人数ですが、厚生労働省の報告によると、2018年12月31日時点で診療所に勤務する眼科医総数は 13,328人とのこと。
一部では眼科医1人につき視能訓練士は3人必要と言う声もあり、仮にこの数値で計算してみると眼科医1人につき視能訓練士は0.8人。
数字だけみるとまだまだ視能訓練士には需要があるように思えますね。
しかしながら、現状はそうではありません。
視能訓練士業務のはずなのに…。無資格者でも検査ができてしまうワケ
需要があるように見えてそう感じられないワケ…
それは視能訓練士業務の一部は他職種でも補えてしまうからです。
視能訓練士に似た職業で眼科検査員(OMA)という職業があります。(以下、OMA)
視能訓練士が国家資格であるのに対し、OMAは民間資格。
この資格を持った方であれば、視力検査や患者に危害を加えない(患者に接触しない)検査業務に限り、視能訓練士の代わりとして勤務することが可能です。
(ただしOMAの民間資格は廃止されたため現在は資格を取得することができません。)
続いてOMAと同じくらい多いのが看護師です。
視能訓練士の代表的な仕事に視力検査がありますが、法律上看護師が検査しても問題はありません。
さらには看護助手のような資格のない方でも視力検査やその他の簡単な業務など、OMA同様に携わることは可能です。
高度な医療機器は導入しておらず、また手術設備もないクリニックにおいては視能訓練士や看護師などの有資格者を雇用するよりも、OMAや看護助手には資格手当を支払う必要がないため無資格者しか雇用しない施設も多々見られます。
視能訓練士の検査業務~「視能訓練士」としてできること~
資格のない看護助手でも働けるなんて…。それなら免許を取る意味ないじゃない…。
今、そう思いませんでしたか?
実はそういうわけでもありません。
視能訓練士の医療行為の規定は以下のとおりです。
視能訓練士は保健師助産師看護師法第31条第1項及び第32条の規定にかかわらず、診療の補助として両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査並びに眼科検査を行うことを業とすることができる
引用;視能訓練士法第17条第2項
すなわち「両眼視機能回復のための矯正訓練」「必要な検査」「眼科検査」は視能訓練士免許取得者のみが行うことができます。
以下に検査例をまとめました。
視力検査|眼圧検査|屈折検査|斜視弱視検査(+訓練)|視野検査|眼底検査|眼軸長測定|電気生理学的検査|コンタクトレンズ装脱指導|集団検診 など
視能訓練士の医療行為は医師の指示のもとで行うよう定められています。検査内容について医師の具体的な指示がなければ業務ができないことを、念のため覚えておきましょう。
他の職種で全てが補えるわけではなく、簡単な検査以外は視能訓練士に委ねられることになります。
専門分野を取り扱うといった意味では、需要はまだまだありますので落ち込む必要はないのです。
なぜ看護師も業務ができるの?
眼科関連の視能訓練士業務が看護師にできてしまうのはなぜ?そう疑問に思った方もいるのではないでしょうか。
これには先ほども少しでてきた「診療の補助」が関係してきます。
もう一度医療行為の規定を記すと以下のとおり。
視能訓練士は保健師助産師看護師法第31条第1項及び第32条の規定にかかわらず、診療の補助として両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査並びに眼科検査を行うことを業とすることができる
引用;視能訓練士法第17条第2項
この「診療の補助」は保健師助産師看護師法の規定により、本来は看護師や准看護師が独占して業務が行えることを意味しています。
しかしながら上記の法により眼科領域においては視能訓練士も看護師や准看護師と同様に「診療の補助」として業務が行える、ということ。
すなわち本当は看護師さんたちの仕事だけど、眼科分野は視能訓練士も業務をしていいよ~という解釈。
自分は眼科専門のコメディカルです!と胸を張っていいんです。その点ではなんだか嬉しくなりますね。
(参考;日本視能訓練士協会 視能訓練士業務Q&Aより)
需要はあるらしいけど現状は…?
養成学校の説明会に参加したとき、視能訓練士はまだまだ需要があるって言われたけど…
他のサイトでは今後もニーズありって書かれていたよ?
と、先ほどのお話で不安になってしまった方もいるかもしれません。
いよいよ視能訓練士の需要と現状についてお伝えします。
需要と現状を知ろう
より専門性の高い医療を提供するために視能訓練士の配置が求められ、雇用が高まっているのは事実です。
しかしながら医療施設には大きな差があります。大学病院や公立の医療機関、総合病院など比較的大きな病院では数人・数十人もの視能訓練士の籍が確保されてますが、個人経営の医療機関(クリニック)の場合は眼科1施設に視能訓練士を1人在籍させることですら難しい病院も存在します。
その理由は視能訓練士を雇う必要がないからです。
資格がない人でも眼科の業務に携われるのであれば、極端な話ですが最低看護師一人を雇用し、あとは必要時に事務員などの無資格者の手を借りる方法をとれば、クリニックとしては成り立ちます。
どれだけ腕の立つ眼科検査のスペシャリストであったとしても、経営が成立してしまうのなら、わざわざ視能訓練士を在籍させる必要はないのです。
また有資格者であればそれなりの賃金や資格者手当も支払わなければなりません。
他科が併設されていたり、保険適用外の処置をする医療機関(クリニック)であるならともかく、一般的なクリニックであるならば人件費は抑えたい!と考えるのが普通。
そのため視能訓練士は常勤よりも時給制のパート勤務、またはアルバイト雇用の求人が比較的多くなります。
しかしながら新卒者や独り身の方では時給制で生活を送ることが難しく、月給制の常勤雇用を求める方が多いのが現状。
時給は1500円前後、地域によっては1000円を下回るところもあるため需要と供給が合わず働き手が見つからない、雇いたくても働き手がいないという状態になっているのです。
常勤希望の求職者は少ない常勤の求人数に悩まされ、一度妥協し就職後も求人探しに精を出す方や、最悪の場合就職(転職)浪人を選択する方など様々です。
眼科医1人につき視能訓練士は3人必要、とはいうものの現状では"眼科1施設に視能訓練士は1人在籍していれば十分、不在でも何ら問題なし"。
医療機関の経営状況や提示する雇用条件の不一致、無資格でも事足りてしまう業務内容から考えると、免許取得者であれば働き口に困ることはありませんが、常勤雇用を求める20代~30代の就職・転職はなかなか厳しい状況と言えるのではないでしょうか。
賃金と働き方
気になる視能訓練士のお給料ですが、20~39歳までの年収、月収、ボーナスの平均値(例)は下記のとおりです。
年齢 年収 月給 ボーナス 20~24歳 249.8万円 17.1万円 44.1万円 25~29歳 325.4万円 22.3万円 57.5万円 30~34歳 374.9万円 25.7万円 66.2万円 35~39歳 410.8万円 28.2万円 72.6万円 (引用;就活未来より)
月収に関しては上記でだいたい相場かな…と感じます。
基本給23万、と求人票に記載がある場合、資格手当や通勤手当が加算されたあとに税金で4、5万円(場合によってはもっと)引かれてしまうので、実際の月収は20万に届くか届かないかくらい。
医療職だからといって給料が多くもらえるといったわけではないのだと就職してから痛感しました。泣
ですがもらえるお給料は就職先によりけりです。
角膜屈折矯正を専門としているクリニックであったり保険適応外とする手術をメインとしている病院では月収30~40万円ほどもらえるところもあります。勤務の時間帯が遅い医療機関であれば、手当が支払われたりもするので高収入を狙えるのではないでしょうか。
しかしながら、高い賃金を受け取るのならそれなりの覚悟が必要であるということを忘れてはいけません。いただけるお給料に見合うまたはそれ以上の技術を求められる可能性は十分にあります。勤務先(特にクリニックのような個人経営)によっては技術不足や一定以上の成果があげられない場合は減給対象になることだってあり得ます。それ以外にも早番や残業のように拘束される時間が長かったり、学会に向けた演題提出が必須であったりと嬉しい・楽しいことばかりではないということを頭の片隅にでも覚えておいてください。
また前項で看護師や看護助手も眼科業務に携われるとお話ししましたが、全医療機関でそのような対応をしているわけではありません。
大学病院や総合病院などの大きな施設では視能訓練士は視能訓練士として、看護師は看護師としての持ち回りや仕事があるためそれぞれが個として活動しています。
パートで眼科検査員(OMA)を雇うことはあっても、それ以外が視力検査をしたり眼科の検査業務に関与してくることはないと考えて良いでしょう。
視能訓練士が個として働くことが難しいのは個人経営の病院(クリニック)です。
基本的に眼科のクリニックでは医院長、看護師、受付(+事務)で構成されています。視能訓練士や看護助手、眼科検査員(OMA)は必ずしも在籍しているとは限りません。
視能訓練士免許がない人でも眼科の業務ができてしまうのなら、手が空いているときは誰かが抜けた穴を埋めてほしい… 要するに視能訓練士以外の業務もやってほしいということ。
個人経営者(医院長)が求める視能訓練士はこのような人材なのではないかと感じます。
そのため一般的なクリニックに就職する視能訓練士は受付をしたり手術前の器械出しをしたりと視能訓練士の業務以外の仕事も手伝っていると耳にします。
当たり前ですが看護師の仕事はできませんのでお間違えないように!
抵抗がある…?
せっかく資格を取得するんだったら、やっぱり視能訓練士が専門的に業務に携われる環境に就職したいなあ…。受付とか事務とか、その他の業務はイヤ!
中にはそう思う方もいますし気持ちもわからなくはないですが、専門的に眼科業務だけをやりたいとなると大学病院などの大きな施設に就職する他ありません。
しかしながら大規模となる医療機関は数が限られています。
また求人が出るタイミングも運としか言いようがありませんし、さらには就職試験で採用になるかもわからない狭き門です。
看護師と同じように視能訓練士にも専門業務だけでなく、いずれは他の業務もこなさなければならないときが来るかもしれない、ということを覚えておきましょう。
これだけは伝えたいこと
資格がなくてもいいんだったら視能訓練士って簡単な仕事じゃん。
そう思いませんでしたか?
そこだけは絶対に勘違いして欲しくないです。泣
確かに現状からするなら個人経営の医療機関では常勤雇用や視能訓練士として個として働くことは難しいと言えますが、視能訓練士は眼科業務のスペシャリスト。
ちゃんとした国家資格であり知識や手技を一から叩き込んだ、眼科に携わる医療従事者です。
正確な検査結果を導くための考え方、検査の仕組みに対する理解度など専門性に豊んでいます。
病名を判断するのはもちろん医師ですが、判断に至る検査結果を導くために必要な職業であることをお忘れなく!
視力検査はただボタンを押す検査…?眼底写真はただ写真を残しているだけ…?そうじゃないからね!
まとめ
❑ 専門性の高い医療を提供するために視能訓練士の雇用が高まっているのは事実。
❑ 一部の簡単な眼科検査であれば他職種・無資格者でも眼科業務に携わることは可能。
➡代用が利くことから視能訓練士はパートやアルバイトの時給制による雇用が多く、常勤希望者の就職が難しいことも。
❑ 大学病院などの比較的大きな医療機関では視能訓練士の雇用は高く、ある程度個として勤務できるが、個人経営の医療機関だと眼科以外の事務作業も仕事内容に含まれることが多い。
❑ 賃金は就職先によりけり!資格職だからといって特別優遇されているわけではない。
❑ 眼科業務のみを専門的にやりたいとなると大きな施設に就職する他ない。
しかし医療機関には数が限られているため求人が出るタイミング、就職試験で採用される確率を考えると運としか言いようがない狭き門であることを心得ておく必要がある。
❑ 国家資格なので選ばなければ職に困ることはない。
けれども生活を送る、という面では選択次第で厳しくなる。
❑ 視能訓練士は眼科業務のスペシャリスト。専門職といった面で眼に関する知識や技能は他職種に劣ることがない、誇りのある仕事。
おわり
いかがでしたか?
視能訓練士の需要や現状、将来性について少しは悩みが解消されましたでしょうか。
中には視能訓練士はAIに取られるのでは…?
そんな不安の声もありますが、医療はヒト対ヒト。
コミュニケーションがあってこそなので消滅する職業ではないと感じています。
この記事が、あなたの役に立ちましたら幸いです。
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